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真辺 健太郎; 松本 雅紀*
no journal, ,
不溶性の放射性セシウム粒子が体内に取り込まれると、可溶性セシウムのように放射性核種が血液や組織液に溶解することなく、粒子のまま体内を移行すると予想される。したがって、このような粒子を取り込んだ際の組織・臓器における壊変数は、無数の放射性核種の平均的な体内挙動を評価する通常の手法を適用することができない。そこで、粒子状物質が体内を確率的に移行する様子をシミュレーションする手法を開発するとともに、不溶性粒子の特性を考慮した体内動態モデルを構築した。本手法及びモデルは、粒子1個の確率論的な体内挙動に基づく組織・臓器における壊変数を評価できる。さらに、壊変数と対応するS値を組み合わせることにより、臓器吸収線量も評価できる。本研究では、この手順を多数回繰り返すことにより臓器吸収線量の確率密度関数を評価し、その99パーセンタイル値、平均値等を通常のセシウムモデルに基づく線量と比較した。本発表では、モデル開発のアプローチを紹介するとともに、粒子の不溶性を考慮した時の線量と通常のモデルに基づく線量との違いを考察する。
佐藤 大樹
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で環境中の土壌に沈着した放射性セシウム(Cs及びCs)からの外部被ばく線量の推定は、放射性セシウムの半減期の長さと放出する光子エネルギーの大きさから、公衆の中長期的な放射線防護対策の検討で最も重要な課題となっている。放射線防護で被ばくの指標となる実効線量は、測定可能な物理量等から換算係数を用いて推定できるが、土壌に沈着した放射性核種による公衆の実効線量の推定に利用できる換算係数は整備されていなかった。本研究では、国際放射線防護委員会(ICRP)が開発した新生児、1歳, 5歳, 10歳, 15歳及び成人の人体数値模型を原子力機構が中心となり開発している放射線輸送計算コードPHITSに組み込み、土壌中の深さ0.0, 0.5, 2.5, 5.0, 10.0及び50.0g/cmに分布する放射性セシウムの放射能濃度から年齢別の実効線量を算出する換算係数を整備した。ここでは、新生児や幼児に対する実効線量も、成人と同様にICRPの2007年勧告で定義された方法で算出した。また、同じ環境の放射線場において、各年齢の人体数値模型の胸部に装着した線量計で測定される個人線量当量と空間中の地表面から高さ100cmにおける周辺線量当量を計算した。その結果、福島でモニタリングされている個人線量当量や周辺線量当量により、公衆の放射性安全性は適切に確保されることを明らかにした。